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***お砂糖中毒、お料理嫌いの人へ
以下の文章は、お料理嫌いだった私がマクロビスイーツと出会ってからの歴史(?)を書いたものです。
思いがけず長めの文章になってしまったのですが、「スイーツなんて作れるわけない!」と思っている料理が嫌い・苦手な方や、「マクロビって難しいんでしょ?」と思う方、「甘いものがやめられるはずがない」と思う方に特に読んでいただきたいなぁ、と思います。


○お砂糖抜き!?…コマッタ!



マクロビオティック=お砂糖、卵、牛乳を使わない。
それを聞いたとき最初に困ったのは、
「お菓子が食べられない!」
ということでした。
なにせ、高校生の私は甘いものが大好物。まさしく一大事でした。
食事を変えた最初の頃は、お菓子のレシピも全く知らないし、そもそも自分で作るという考えがない。お菓子=買うもの、でした。けれども、マクロビのスイーツを売っているお店も知らない。(単に知らなかったのもあるけれど、当時はマクロビのレシピ本などは今よりずっと少なかったと思います)
その頃は、市販されているキレイなお菓子を見ては、食べたくて仕方ありませんでした。スイーツのカタログをじーっと見ては、「病気が治ったら、絶対に食べてやる…」と夢に見るほどに憧れていました(笑)


○憧れのスイーツ、そしてその威力


「とりあえずここまではガマン」と決めていた大学受験が終わり、「合格祝い!」という名目で、早速憧れのケーキやシュークリームを買ってもらい喜んで食べました。
憧れのスイーツの甘さは、本当に格別でした。
なにせ長いあいだ、甘いものといえば母親お手製のひえドーナツ(雑穀を炊いて、レーズンを入れて油で揚げたもの)くらいしか食べていなかったのです。もちろんひえドーナツだって美味しいし、喜んで食べていたのですが。市販のスイーツは、それとは全く違う強烈な甘さ。とっても幸せでした。
…が、しかし。

食べた後の反応が、すごかったのです。
頭がズキズキと痛む。身体がずしんと重くなる。手足や頭の芯がじーんとしびれる感じ。理由も無いのにイライラして、甘いものを食べるたびに盛大な家族喧嘩。(白砂糖の害については、なぜ、マクロビスイーツなの?参照)
それまで平気なつもりで食べていたお砂糖たっぷりのお菓子に、まさかこんな作用があるなんて。慣れていて気がつかなかっただけなのか…と、驚きました。
どうやら砂糖断ちをすると、「砂糖に対して正しく反応する身体」になってしまうようです。それまでは麻痺していただけなのだから、つまり健康になったということ。わあ、素晴らしい…と言えればよいのですが、ここでやっぱり最初の考えに。

「お菓子が食べられない!」


○作ってみるしかない


お砂糖が入っているからダメなんだったら、「お砂糖の入っていないスイーツ」を食べるしかない。そう、牛乳や卵を使わずに、砂糖の代わりにメープルシロップなどを使った「マクロビスイーツ」を食べればよいのです。
けれど、マクロビスイーツは滅多に売っていない。お取り寄せなら、とってもリッチで美味しそうなスイーツを見つけることができました。でもそれだとちょっと「リッチ」すぎて、日常的に食べるのは無理がある。
やっぱり、毎日とは言わなくても、ちょこちょこと甘いものを楽しみたい。やっぱり、甘いものは特別なときにしか食べちゃいけないのかな…と、市販のお菓子のパッケージを手にとっては、裏側の材料表示を見てため息をつく日々でした。

その頃、同じように甘いものに飢えた母親が、マクロビスイーツのレシピ本を買ってきました。マクロビ界(?)では有名な、パトリシオ先生の本です。どのページにも、とてもマクロビ仕様とは思えないゴージャスで美しいお菓子の写真が。
「甘いものを見ているだけで嬉しい」状態だった私は、毎日本を眺めまくりました。この写真が本物だったらいいのに…と溜息をつきまくりました。どんな味がするんだろう、どんな食感なんだろう…と想像しまくりました。完全に飢えた子どもでした。(甘いものに)

…自分で作るしかない。
ようやく、そういう結論に至りました。

しかし、それまでの人生でお菓子を作ったのは数えるくらい。家事全般がとにかく苦手で、嫌い。料理は特に自分から遠いものの一つ。わたしは生まれつき料理には向いてない運命、と思ってました。そんなちまちましたことがわたしに出来るはずない。「もしも結婚したら、家政婦さんを雇うしかない」と密かに心に決めていたくらいです。
お菓子を手作り=遠い世界の話、でした。「そういうことが出来る人も世間にはいるんだな、すごいなあ」と思っていました。

でも、食べてみたい…という気持ちの方が勝りました。
ひえドーナツみたいな地味なものばかりではなくて(いえ、美味しいのですが)、パトリシオ先生のレシピ本のような、見た目も素敵で、とびきり美味しい(はずの)スイーツが食べてみたいのです。

母親も時々は作ってくれていたのですが、当たり前のことに「自分の作りたいと思ったレシピ」しか作りません。私はといえば、「このタルトも食べたい、シフォンケーキも食べたい、スコーンもクッキーも食べたい」と、飢えた反動からかどれもこれも再現したいレシピばかり。

自分の作りたいものは、自分で作るしかない。
まだマクロビ料理もロクに出来ない私は、緊張しつつ恐る恐る、スイーツ作りを始めたのでした。


○私でも作れる、マクロビスイーツ


拍子抜けです。
「スイーツ」といえば、しっかり泡立てたり・頑張って混ぜたりの力仕事やら、冷やして生地がだれないようにしたり…と気を使う作業ばかりのはず、でした。
しかし、マクロビのパウンドケーキは、「混ぜるだけ」。しかも「混ぜすぎちゃいけない」のです。頑張っちゃダメなのです。
つまり、とにかく簡単だったのです。

当時の私のダメダメさ加減では、パトリシオ先生のレシピは正確に再現できなかったのですが、「藤井恵さんちのおやつ」というレシピ本のスイーツならば、らくらく作れるようになりました。
というか、材料をちゃんと量ることさえできれば、誰にでも作れるといっても過言ではないくらいに簡単なのです。
それでもかなりの感動でした。
「私にも作れる…!」ということが。


○お菓子を作る楽しみ


今では舌が変わってしまったのか、昔はあんなに食べたがっていた卵やバター、お砂糖をたっぷり使った「普通のお菓子」は、全く欲しくなくなってしまいました。私には甘すぎるし、くど過ぎるみたい。それよりも、自然な甘味料や素材の甘さを生かしたお菓子のほうが、ずっと美味しいと思うようになりました。

手作りのマクロビスイーツのいいところは、自分で材料を選べるから、「安心で安全」なこと。さらには、「自分の舌に合わせて甘さを調節できる」こと(マクロビオティック的にはとても重要)。そして何よりも、「お菓子…作っちゃった♪」という達成感、もとい楽しさがあること。

お店で売るものじゃないのだから、完璧なものじゃなくていい。自分の好きなように作ってもいいのです。

今では作るのが楽しくて、お料理もお菓子作りも、昔に比べればかなり積極的にチャレンジするようになりました。昔は「自分が料理するのは、材料を台無しにすることだ」と信じていたけど、少しずつ練習していった成果なのか、「人並みには料理が出来るんじゃないかな」とほのかに自信を持てるくらいになりました。
この嬉しさは、もともとお料理が好きな人には絶対にわからないものじゃないかと思います…。

○お料理嫌いがここまで来れたよ


Organic baseの奥津典子さんの言葉に、「マクロビオティックを始めると、自然にどんどんお料理が上手になります。」というものがあります。何気ない一言でしたが、とても心に残りました。
確かにそうなのです。あれだけ料理が嫌いで、絶対に無理!と思っていたわたしが、今はなんとなく「素材と対話する感じ」がわかるような気がしてしまうのです(!)。
気がつくと、お料理しながら野菜に話しかけていたり。「そろそろ煮えてきたから、もう調味料を入れてね」という雰囲気を感じたり。これも蘇ってきた直感力のお陰でしょうか。

ジャンクフードが大好きで、砂糖をそのまま舐めるくらい甘いものが好きだった昔の私。料理なんて無意味な行為だと、半ば本気で思ってました。「いくらでも外で美味しいものが食べられるのに」って。
でもマクロビオティックを始めてから、ちょっとずつお料理の楽しさがわかるようになって来ました。

特別な料理上手というわけではないし、センスがとびきりあるわけでもないし、テクニックがすごいわけでもない。「絶対に美味しいものを作る!」という情熱も、そんなにないかも。
でも、あんなにもお料理が嫌いで、心のどこかでそれがコンプレックスにさえなっていた自分が、今みたいにお料理をしたり、お菓子作りを楽しんだりするようになるとは思いませんでした。
マクロビオティックに出会わなかったら、たぶんこんなことはなかったと思います。